“地域の声かけ”で避難し助かったケースも 広島

“地域の声かけ”で避難し助かったケースも 広島
今回の豪雨で土石流が流れ込んだ広島市安芸区矢野東の住宅地では、これまでに5人の死亡が確認されました。一方で、地域の声かけがきっかけで1軒の住宅の2階におよそ20人が避難して全員が助かったケースもありました。
広島市安芸区矢野東にある住宅団地には、ダムを乗り越えた土石流が流れ込み複数の住宅が押し流されました。広島市によりますと、この地区では、これまでに5人の死亡が確認され、7人の安否がわかっていません。その一方で、地区の外に避難できなかった住民が助かったケースもありました。山の斜面から15メートルほどの場所に住む掛橋美奈子さん(75)もその1人です。夫と2人暮らしの掛橋さんは6日の夜、大雨の特別警報が出されたおよそ20分後の午後8時ごろ、草と土が混ざったような異様なにおいに気づいた直後、雷のような大きな音を聞きました。玄関を開けると、向かいの家の車が土砂などに押し出されていたということで、身の危険を感じた掛橋さんは、夫の運転する車で自宅から避難しようとしました。しかし、出発した直後、30メートルほど先の道路を大きな石が濁流に乗って転がる様子を目の当たりにし、車での避難は諦め、途中にあった駐車場に車を止めました。山に近い自宅に戻るべきか車の中にいるべきか、悩んでいた掛橋さんでしたが、そのとき、駐車場の隣の家に住む女性から「うちに入って」と声をかけられたといいます。掛橋さんは、案内されるまま住宅の2階に避難しました。掛橋さんを含む複数の住民によりますと、部屋には、近所の人が少なくとも20人は集まっていたといいます。この住宅はやや高い場所にあったため土石流の被害は免れました。全員が部屋で一夜を過ごし、無事でした。同じ部屋に避難した18歳の女子高校生が翌朝、2階から撮影した写真には住宅のすぐそばの道路が完全に水につかり、土砂や流木などが流れている様子が映っています。掛橋さんは自宅に呼び込んでくれた女性がいなかったら、どうなっていただろうかと振り返ります。

そして30年以上この地区で暮らしているという掛橋さんは「避難させてもらい本当にありがたかった。これまで、近所づきあいはあまり積極的なほうではなかったと思う。地域のつながりがこうした災害のときに生かされるのかと感じました」と話していました。