刑事の「涙」描く 元府警捜査1課長・中園さん

警察小説を初めて出版した元府警捜査1課長の中園修二さん=京都市右京区の東映京都撮影所で


 京都市右京区の東映京都撮影所で刑事ドラマの「警察考証(監修)」を担当する元府警捜査1課長、中園修二さん(71)=大津市=が、京都を舞台にした警察小説「刑事の涙 京舞妓(まいこ)殺人事件捜査本部」(ライティング、1296円)を出版した。被害者や遺族の無念を胸に刻んだかつての自分や同僚を重ね、地道な捜査で真相に迫ろうとする刑事の実像を描きたかったという。売り上げの一部は京都犯罪被害者支援センター(上京区)に寄付する。【中津川甫】


 中園さんは熊本県上天草市出身。1970年に府警に採用され、殺人事件を担当する捜査1課長や警察署長を歴任した。定年退職後、大手ゼネコン参与を経て、現在は東映京撮の相談役・製作アドバイザーを務めている。


 7、8年前、飲食店で当時の京撮所長やプロデューサーらに「1回台本を書いたら」と勧められたのがきっかけ。約1週間で手書きで仕上げ、所長から「なかなか面白い」と好評だったが、ドラマ化までに至らなかった。同時に、体験を基に小説を書くことは遺族らを傷つけると考え、長年ためらいもあった。


 ただ一部の刑事ドラマは実際の捜査と異なる描写も見受けられ、「現場で苦労している捜査員の姿を少しでも知ってもらえれば」と、さまざまな事件を参考に書くことを決断。以前書いた台本に加筆する形で仕上げた。


 小説は祇園祭の夜に東北出身の舞妓が殺害された未解決事件を巡り、捜査本部の人員が大幅に削減される中、数年後に捜査1課に配属された敏腕管理官の指揮で捜査が急展開する内容。主人公は警察署刑事課の男性係長(警部補)で、府警本部と署のあつれきもあったが、粘り強く捜査を続ける姿を描く。


 中園さんは「管理官と主人公は警察学校で教官と教え子だった間柄。自分も教官の経験があり、コツコツと捜査する人間味あふれる刑事が好きで描きたかった」と話す。タイトルの「涙」には強いこだわりがある。「被害者の顔を確認する遺族の姿は見ていて本当につらい。遺族に寄り添う刑事は共に(情報提供を求める)ビラを配り、解決時には歓喜する。自然と涙が出るんですよ」。