身近にある宝を生かし 大分・日田の「ハイジの白パン(よもぎ)」

 もっちりとしたパンをほおばる。たっぷり練り込まれたヨモギの香りがその歯触りとともに広がり、かむほどにおいしさが増す。小鹿田(おんた)焼の里にほど近い、大分県日田市殿町で「おかあさんのパン」を営む神川久子さん(70)がこしらえる「ハイジの白パン(よもぎ)」である=写真。

 久子さんは40年ほど前、小鹿田焼を学ぶためにやってきた英国人研究者の妻にパン作りを教わり、畑の野菜などを使って子どものおやつに焼くようになった。やがてそれが仕事となり、1997年、自宅の納屋を改造して、近所の女性たちとパンを作っている。

 「うちのパンと言えばこれ。私はヨモギが大好きで、においをかぐだけで元気が出ます」。そう話す久子さんは、夏草を刈った後に新芽が出る10月から春まで摘んでは湯がいて冷凍。5月ごろまで、さまざまなヨモギ入りのパンを焼く。

 パンの名前は、かつての人気アニメ「アルプスの少女ハイジ」に出てくる白パンと、雪を頂いた山々をイメージしたとのこと。プレーン、ヨモギのほか、カボチャ、ニンジンを練り込んだ姉妹品もある。

 周りの山や畑にある宝を生かすパン作り。初夏にはお茶の新芽、梅雨の頃は夫の建彦さん(75)が育てた桑の実のジャムも材料に。

 昨夏の九州豪雨で甚大な被害に遭いながらも、この土地の恵みを手間をかけて生かす食の営み。それをいとわない久子さんたちの笑顔を見に、ぜひお運びを。

 ▼ハイジの白パン(よもぎ) 5個入り324円。原材料は国産小麦粉、ヨモギ、オリーブ油、はちみつ、自家製酵母、イーストなど。福岡市南区の「木の花ガルテン」野間大池店などでも販売。おかあさんのパン=0973(29)2215(水、土曜日定休)。

=2018/11/10付 西日本新聞夕刊=