<改正入管法成立へ>東北「劇薬」に期待と不安 生活や人権、課題山積

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image縫製工場で働く中国人技能実習生=11月21日、仙北市田沢湖

 外国人労働者の受け入れを大幅に拡大する入管難民法改正案が8日未明に成立する見通しとなった。国会審議の過程では、賃金未払いなど外国人技能実習生の劣悪な労働環境も浮上した。少子高齢化が加速する東北の関係者からは期待する声が上がる一方、「生煮え」とも評される新制度に不安の声も聞かれた。

 「労働力が減り続ける地方にとって朗報だ」。秋田やまもと農協(秋田県三種町)の米森萬寿美組合長は期待感をにじませる。
 急速な人口減少や高齢化のため、地元で雇用を確保できず、10〜20代のベトナム人技能実習生5人を雇用している。
 新たな在留資格は農業分野も対象となる。米森組合長は「外国人労働者は日本農業を担う貴重な存在だ。地方でも人材が定着するような制度にしてほしい」と注文する。
 東京電力福島第1原発事故からの再建が進む福島県。4月には、避難区域の被災家屋の解体作業に従事していたベトナム人技能実習生3人に特殊勤務手当の一部が支払われていなかったことが明らかになった。
 全統一労働組合(東京)の佐々木史朗書記長は「弱い立場の外国人に除染作業をさせる流れが加速するのではないか」と危惧。外国人労働者弁護団事務局の倉持恵弁護士(福島市)も「低賃金労働やパワハラなどの人権侵害が増える可能性が高い」との考えを示す。
 改正法はこれまで認めてこなかった単純労働への就労に門戸を開く大きな政策転換となる。
 技能実習生を受け入れる国際人材育成機構東北支局(仙台市)の千葉徹支局長は「人手不足という日本の都合しか考えず、拙速と感じる」と疑問視する。
 東北で外国人労働者が急増するとは考えにくいとした上で「将来的に社会保障(の適用範囲)やヘイトスピーチなど多くの問題が出てくるだろう」と懸念する。
 国際教養大(秋田市)グローバルスタディーズ課程の秋葉丈志准教授は「国が労働者としての受け入れを表明したことは前進だ。雇用主の責任が明確になり、労働者を守る法制度の適切な運用に近づくのではないか」と評価する。
 一方、法案成立を急ぐ国の姿勢には「本来なら数年かけて議論すべき制度。国や自治体が連携し、生活面の支援態勢などを早急に構築すべきだ」と注文を付けた。


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2018年12月08日土曜日