「バイトテロ」と「低賃金」の密接な関係、犯人処罰だけでは泥沼に

バイトテロをした若者に法的措置をする企業の動きに注目が集まっている。確かに犯人が悪いのは言うまでもないが、この手の非正規従業員による不祥事の大半は、動機に「低賃金や劣悪な労働環境への不満」がある。今後、外国人労働者に低賃金労働をさせようと目論んでいる日本では、彼らによる「テロ」も覚悟しなければならず、その際には「国際人権問題」にまで発展するリスクをはらんでいる。(ノンフィクションライター 窪田順生)

くら寿司のくらコーポーレーションは犯人2人に対する法的措置の準備に入りましたくら寿司、セブン-イレブンなど、「バイトテロ」銘柄は明らかに低賃金業種。実際、企業不祥事の現場では、はるか昔から「低賃金が不祥事の温床になる」ことは常識である Photo by Akiko Onodera

「バカ」を「見せしめ」として吊るし上げればメデタシ、メデタシで終わる類の話なのか――。

 いわゆる「不適切動画」を投稿したバイト従業員に対して、一部の企業が再発防止と信用回復のために「法的措置」を取ると表明したことが、大きな波紋を呼んでいる。

 労働問題の専門家が、この問題の背景にはバイト従業員の低賃金・低待遇があるとして、法的措置をとる前に待遇改善をすべきではないかと見解を示すと、法的措置を支持する方たちが、「バカをやった本人が悪いのに、環境のせいにするな」「そのうち安倍政権が悪いとか言い出すぞ、これだからサヨクは」と全否定するなど、バチバチのバトルに発展しているのだ。

 個人的には、法的措置支持派の方たちのおっしゃることには非常に共感できる。個人の犯罪行為を「世の中が悪い」「政権が悪い」という方向に持っていくことは、問題をうやむやにすることにしかならない。

 我が子を虐待死させる親は、不幸な生い立ちや育児ストレスが…などという言い訳ができないほど厳罰に処してほしいし、統計不正問題も、政権や大臣の責任問題うんぬんの前に、不正がスタートした時点まで遡って、官僚の不正・隠蔽体質を徹底的に追及すべきだとも思う。

 ただ、今回のケースは、これらの話とはちょっと違う気がしている。

「バカは訴えられないとわからない」派の方たちは、「バイトテロ」と「賃金」は因果関係がないと叫んでいるが、残念ながら必ずしもそうとは言えないからだ。

 従業員が勤務中にSNSで不適切な写真、動画を投稿するという問題が注目を集め始めた2013年から今日に至るまで、「バイトテロ」が世間を賑わせた企業をざっと羅列してみよう。

 ピザハット、ピザーラ、ローソン、セブン-イレブン、ファミリーマート、ブロンコビリー、バーガーキング、すき家、ビックエコー、TSUTAYA、そして今回大きな注目を集めた、くら寿司。この中には複数回「テロ」の憂き目にあっている企業もあるが、大まかに分けると、「フード系チェーン」「コンビニ」「ビデオレンタル」「カラオケボックス」という業種が浮かび上がる。