住友ゴム、2018年12月期決算は売上高1.9%増の8942億4300万円、純利益22.8%減の362億4600万円で増収減益

 住友ゴム工業は2月13日、2018年12月期(2018年1月1日~12月31日)の決算内容について解説する決算説明会を開催。合わせて「欧米事業の拡大とダンロップブランドの活用について」と題したプレゼンテーションを行なった。

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 第127期となる2018年通年の連結業績(IFRS)は、売上収益が前年同期比1.9%増の8942億4300万円、事業利益が同9.4%減の606億8100万円、営業利益が同15.3%減の571億5500万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同22.8%減の362億4600万円となった。

 この連結業績について、住友ゴム工業 代表取締役社長 池田育嗣氏が説明を実施。世界経済は米国と中国の通商問題の動向によって影響を受けているものの、米国では景気拡大が着実に継続。欧州でも緩やかな景気回復の動きとなっており、全体として緩やかに回復しているとしつつ、これまで比較的高い経済成長率を維持してきた中国で景気の減速感が生じてきていること、中近東地域や一部の新興国で景気低迷が続いていることなど、先行きに不透明感が増しているとした。

 日本国内については雇用環境の着実な改善で個人消費の持ち直し、企業収益の改善、設備投資の増加なども見られ、緩やかに景気が回復していると分析。この環境下で同社は、天然ゴム価格相場が安定したものの、一部の新興国市場で通貨が下落したころによる販売環境の悪化、海外市販市場における競合他社との競争激化などで厳しい状況に置かれたと池田氏は語った。

 セグメント別では、同社事業の主力となっているタイヤ事業について、国内新車用タイヤは低燃費タイヤを中心とする高付加価値商品が注目されて販売数が増加し、国内市販用タイヤでは、「ダンロップ」ブランドで耐摩耗性能と耐偏摩耗性能を向上させて「より最後まで使える長持ち」を実現した乗用車用低燃費タイヤ「エナセーブ EC204」を2018年2月から発売したほか、「LE MANS V」などの高付加価値商品の拡販を推進。

 また、「ファルケン」ブランドでは「Red Bull Air Race」に参戦している室屋義秀選手を引き続きサポートしてブランドの認知拡大に努めたほか、高速安定性とウェット性能を高めた乗用車用の新世代フラグシップタイヤ「AZENIS FK510」シリーズを2018年2月から発売した。

 海外市場では新車用タイヤが欧州、北米、新興国で納入を拡大し、市販用タイヤは欧州で好調に推移したが、中国の景気減速、中近東の政情不安による消費低迷などの影響で販売数が減少した。これらにより、タイヤ事業全体での売上収益は前期比1.5%増の7680億円、事業利益は前期比12.3%減の511億8700万円を計上している。

 次期となる2019年12月期(2019年1月1日~12月31日)については、米中の通商問題の動向、中国の経済成長の減速、英国のEU離脱によるグローバルな影響、中東地域での地政学的リスクの顕在化などにより、世界経済は今後さらに景気の不確実性が高まっていくと想定。

 日本経済も景気が回復傾向にある一方、消費税率の引き上げによる影響、賃上げ動向の不透明感などがあり、予断を許さない状況が続くと予想。業績予想を売上収益が前年同期比2.9%増の9200億円、事業利益が同7.7%減の560億円、営業利益が同5.5%減の540億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同6.2%減の340億円としている。

 最後に池田氏は「2018年度の業績はすべてのセグメントで増収を達成しましたが、主にタイヤ事業において中国の景気減速による販売環境の悪化といった市場環境の変化により、残念ながら事業利益は減益となりました。2019年については2018年に引き続き、グローバルの市場環境の変化は早く、他社との競争関係もますます激しさを増してくるものと予想しております。このように不確実性が高まっている経済環境の下、当社グループはブランド価値のいっそうの向上と事業の拡大、収益力の強化に取り組んでまいります」と意気込みを語った。

 決算内容の説明に続き、池田氏は2019年以降の活動について紹介する「欧米事業の拡大」と「ダンロップブランドの活用」について解説するプレゼンテーションを実施。

 高収益・高成長を目指す同社では、海外市場での売上や利益を高めるさまざまな施策を実施しており、この達成に向けて欧米事業の拡大とダンロップブランドの活用が重要になると池田氏は説明。欧米事業の拡大ではグローバルブランドに位置付けているファルケンブランドの積極的な販売拡大を推進しており、市場ニーズに合った商品の投入を柱としつつ、スポーツ分野に向けた投資によるブランドイメージの強化、ニュルブルクリンク24時間レースなどでのプロモーションなどを行なっている。これによって欧州、米国におけるファルケンのブランド価値やプレゼンスが着実に高まっており、販売本数が前年比で2桁増を達成しているとアピールした。

 欧州では新車装着用タイヤを拡大。とくにメルセデス・ベンツやアウディなどのプレミアムブランドの新車装着を積極的に進めており、これによってブランド価値の向上と市販用タイヤの販売拡大に大きく影響をもたらしているという。また、販売網の拡大にも取り組み、2017年にタイヤ販売会社の英国 ミッチェルディーバーを買収。買収以降も販売店を拡大して、2018年末までに店舗数を1.5倍に増やし、同時に市場シェアも拡大しているという。

 開発・生産の面ではドイツ ハナウ市に「欧州テクニカルセンター」を開設。欧州の自動車メーカーに対するアプローチを強化し、市場での競争力を高めており、引き続き現地ニーズに合致した製品作りを推進すると池田氏はコメント。生産ではトルコ チャンクル県に設立したトルコ工場を欧州市場向けの重要拠点に位置付け、2015年の生産開始当初から2018年には生産能力を4倍となる1万6000本/日に生産能力を高め、さらに2020年には3万本/日まで能力増強を進めていくとした。

 米国では市販用タイヤの販売拡大を目指し、販売店スタッフに製品やブランドについてより深く理解してもらうため、「ファルケンアカデミー」と名付けたイベントを2018年から実施。試乗会なども実施して、米国で高いSUV需要を取り込んでいるという。新車装着タイヤでもクライスラー「RAM 1500」や「ジープ ラングラー」で同社のSUV向けタイヤ「ワイルドピーク」シリーズを納入している。

 また、開発面では「米国テクニカルセンター」の活用を進め、市販用タイヤのサイズ設計業務などを日本から移管しているほか、2020年からは新車用タイヤの開発も開始する予定とのこと。タイヤを現地生産する米国工場ではSUV用タイヤを中心に、乗用車用、ライトトラック用のタイヤの増産投資を行なっているという。

 ダンロップブランドの活用では、同社はスポーツ事業におけるダンロップの商標を2017年4月に手に入れ、タイヤ事業とのシナジー効果によって価値向上を進めている。とくに1月に開催され、大坂なおみ選手が優勝したことで日本でも大きな話題となったテニスの全豪オープンでは、日本メーカーとして初めてグランドスラム(世界4大大会)の公式球に同社のテニスボール「DUNLOP Australian Open」が選ばれ、均質性、耐久性が参加選手からも高く評価されたとした。

 また、2018年1月からオフィシャルスポンサー契約を結んでいる米国の「IMGアカデミー」に続き、1月からフランスの「ムラトグルーテニスアカデミー」ともオフィシャルスポンサー契約を締結。さらにプロテニスプレーヤーのケビン・アンダーソン選手、ワン・チャン選手と契約。アンダーソン選手をダンロップのプレミアムコンフォートタイヤである「ビューロ」の広告キャラクターとして起用し、スポーツ事業とタイヤ事業のシナジー効果でブランディング活動を進めていると池田氏は紹介した。

 終盤に行なわれた質疑応答では、3月26日付で行なわれる予定の新しい人事で、現任の池田氏に代わって現取締役 常務執行役員の山本悟氏が代表取締役 社長に就任することについて「私は言わば技術系・工場系でずっと来ました。彼(山本氏)には私が気が付かない営業力のいろいろな強化を、グローバルでやってもらおうと考えています。とくに、アフリカが今回減収したのは、南アフリカの景気が低下したこと。これはどこでもあるのですが、これをアフリカ全体でカバーできるようにしていれば、今回のような減収にはならなかったと私は思っております。ですから、営業力をいかに高めていくかということを、われわれが全世界でまだまだできていないところがあるので、彼の力を使って高収益に向かうような形に活躍してくれることを私は期待しています」とコメントした。

Car Watch,編集部:佐久間 秀